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中々上達しないスペイン語

全然違う!スペインとメキシコのスペイン語を比較してみた。

スペイン語公用語となっている国は現在21カ国。一言でスペイン語と言っても国によっては違いがあります。一番長く過ごしたメキシコとスペインを例に挙げて比較してみました。

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  スペイン語の広がり

スペイン語公用語と定めている国は世界で21カ国。

ネイティブスピーカーの数は4憶8000万人、第二言語としてスペイン語を話す人を含めると5憶7000万人以上になります。

南米のブラジル以外の全ての国ではスペイン語が話されており、中米もいくつかの国は英語が公用語ですが殆どがスペイン語公用語としています。

15世紀の大航海時代コロンブスが新大陸を発見したことにより、領土拡大のためにスペイン(他の国も)はアメリカ大陸に進出し、”植民地として統治”を始めました。

アメリカ大陸で英語やスペイン語、フランス語が話されるのは、ヨーロッパ内の領土争いの結果であって原住民(インディヘナ)の文化に基づくものではありません。

「原住民にとってはただの侵略」

 悲しい歴史ではありますが、現在中南米で暮らす人達は”国の歴史の一部”として考えている人が多い様に感じました。*インディヘナと国との関係には根深い問題がありますが、今回は割愛します。

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スペイン語の分布図 

 出典:Spanish Speaking Countries in the World | Hispanic Nations

上の図は、赤で示された国がスペイン語公用語としている国、青で示された国がスペイン語公用語としていない国で表し、それぞれの国の話者数も記載されています。

赤色の国はスペインの植民地であった国と一致します。

スペインの人口は約4600万人なのでスペイン語ネイティブスピーカーの中の1割にしか過ぎません。一番強い勢力は人口約1憶2000万人のメキシコです。

アメリカは一部がメキシコだった過去もあるため4000万人以上の人がスペイン語を話します。世界でも5番目にスペイン語話者が多い国です。

 

 「スペイン語」を表す言葉は2つある

日本語で”日本で主に使われている言語”を指す単語は「日本語」しかありませんが、スペイン語で「スペイン語圏の国で主に話されている言語」のことを表す単語は2つ存在します。

Español(エスパニョール)

Castillano(カスティジャーノ)

 この2つは共に「スペイン語」を表す言葉です。

なぜ2つ存在するのかというと、これもまた民族の歴史と関わってくるのですが、”どこで話されている言語”かに由来しています。

Español(エスパニョール)

”スペインの~”と言う意味。サッカーでよく聞く「リーガ・エスパニョーラ」は「スペインのリーグ」と言う意味。

Castillano(カスティジャーノ)

 ”カスティージャの~”と言う意味。カスティージャはスペインが一つに統一される前にあった王国の一つ。

スペイン国内には独自と言語と統治を行っていた複数の国家があり、カスティージャもその内の一つでしたが、その後カスティージャがスペインの統一と統治の中心的役割をしたことでスペインではカスティージャ地域の言葉が国家中枢で使用される言語として定着しました。

その一方でカスティージャ王国以外のルールを持つ人達は、スペインが一つの国家として成立されてからも独自の言語や文化を守ってきてそれが今日まで続いています。

私のいるバルセロナではカタルーニャ語、他の地域ではバスク語やガルシア語などがあり、スペイン語とは全く異なる言語です。これらの地域では第二の公用語として認められています。

自分のルーツを重要視する人にとっては「スペイン語として話されている言語はカスティジャーノにしか過ぎない。他の言語があるのに、他の民族を蔑ろにしている。」と考える人もいるそうです。カタルーニャ地方は特に独立心の強い人も多く、プライベートではカタルーニャ語しか話したくないという人もいます。

 中南米では「スペインから来た入植者が話す言葉」という意味でエスパニョールが定着しています。中南米で話されるスペイン語と、スペインで話されるスペイン語には違いがあるので、スペインで話されるスペイン語についてはカスティージャと言う場合もあります。

 

 メキシコとスペインのスペイン語

日本国内でも方言があるように、スペインと中南米スペイン語にも違いがあります。

基本的な文法や単語の意味は同じなので メキシコ人がスペインに行っても言葉が通じずに困るといったことはありません。”関東の人が関西に行った”位の違いです。

ただ、スペイン語学習中の人にとってはこの違いは結構大きいです。

私はグアテマラとメキシコでスペイン語の勉強をして、友達にもメキシコ人が多く、未だにスペイン人の話すスペイン語は苦手です…。

メキシコとスペインの大きな違いは…

1、メキシコは二人称複数vosotrosを使わない。

スペイン語を勉強したことがない人には想像が出来ないと思うのですが、スペイン語は主語によって動詞の形が変化するというルールがあります。

 Yo……私 

Tú……君   

Él/Ella/Usted……彼/彼女/あなた                 

Nosotros/nosotras……私たち  

vosotros/vosotras…… 君たち  

Ellos/Ellas/Ustedes……彼ら/彼女ら/あなたたち

  このように主語のグルーブが6つあるのですが、一つの動詞に対して主語グルーブ6つ分の動詞の活用変化があります。

例えば、踊る【Bailar】だとしたら…

Yo bailo

Tú bailas

Él baila

Nosotros bailamos

Vosotros bailaís

Ellos bailan

誰が何をしたのか分からなくなってしまうため、この動詞活用は覚えるしかありません。一応規則性はありますが、不規則動詞や過去や未来などの時制を合わせると眩暈がします…。

しかし、メキシコを含む中南米諸国ではこの中のVostros/Vosotrasは全く使われないのです。そして誰も使わないため、グアテマラやメキシコの語学学校ではこの活用を教えない所も多いです。

私は中南米に興味があってスペイン語の勉強を始めたので、Vosotrosの存在は知っていましたが一切覚えてきませんでした。

スペインでは一般的で、特に学校で先生が生徒たちに話しかけるときには間違いなく使用されます。初めての授業で先生がVostrosを使って話しているのに気が付いたときは衝撃を受けました。

 

 2、メキシコは過去の話は基本点過去を使う

スペイン語は点過去と線過去と言う英語にはない時制が存在し、これがまずスペイン語学習者を悩ませるのですがスペインに来て更なる問題に直面しました。

メキシコは完結している過去の行為を話す時は点過去を用いて話すのですが、同じシチュエーションであってもスペインでは違います。

スペインでは今と継続性のある過去【今朝、今日の昼、今週、今月…】などの話の場合は現在完了、【昨日、先週、先月、去年…】などの今と継続性がない過去は点過去を用います。

例えば「今朝はご飯食べてない。」

スペイン:No he desayunado esta mañana.


メキシコ:No desayuné esta mañana.

文字で見ても分かるように、結構違います。

メキシコでも現在完了は使いますが主に経験について話す時に使う場合が多く、日常で使う頻度はそんなに高くないです。この違いに気が付くまでにシェアメイトの行ってることが理解出来なかったです。

主にこの2つに悩まされているのですが、自分の勉強不足にも原因はあります…。

 

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メキシコのスペイン語語録

学校では教えてくれないネイティブスピーカーしか使わない表現がどんな言語にもあります。

スペイン語の場合は国によって言い方に違いがあって他の国では基本通じません。

メキシコ人が良く使うので私も普通に使う様になった言葉は、スペイン人のシェアメイトには少し変に聞こえるそうです。通じないから辞書を引いてみると【ラテンアメリカのみで使用される】と記載されていることも多々あります。

メキシコでよく使うスペイン語

¡Qúe padre!…すごい!いいね! 英語でいうSo cool。Padreは父親という意味。

 

¡Qué chido!…¡Qúe padre!と同じ様に使われる。 

 

¿Qúe onda?…元気?調子どう? 英語でいうWhat's up?スペインでは¿Qúe tal? メキシコではどちらも使う。

 

Ahaorita…”今すぐ”という意味。メキシコやグアテマラでは多様される。中米は何にでも【-ito/ita】をつけたがる。

 

No manches…嘘でしょ?まじかよ…英語でいうNo wayに近い。超カジュアルな言葉。

 

!Órale!…おおー!へー!など、いい驚きがあったときに使う。発音が難しい。

 

 ・¿Mande?…何て言った?と聞き返す時に言う。直訳で”命じて下さい”の意味なので、植民地時代の名残だと言われている。

 

 ・Sale…了解の意味。確認の意味で¿Sale?と聞かれる事が多い。

 

Ni modo…どうしようもない、しょうがないの意味。

 

その他には名詞や形容詞の言葉が違うことが多く、先生からはちゃんと辞書を使って調べる様に言われます。私としてはそこを減点されるのは少し納得がいないし、「間違ってないのに!」って思ってしまうのですが、郷に入っては郷に従えということで少しずつ覚えています。

英語もそうですが、どんなな言葉を使うかでどこで勉強してきたかが分かります。言語は教科書で勉強するだけでなく、話したり聞いたりしないと分からない部分もたくさんあるので、積極的に会話をしていきたいですね。